道具に対する想い④

ブログを御覧いただきありがとうございます。

津軽三味線奏者の佐藤壽治です。

 

 

この写真を見て「まだコイツ丸いの使ってんの?!」って言う人。分かってませんよ。この丸いのはすごいんですよ。

 

それを知らないと人生の8割損してます。

 

 

ただ、今回はそんなところの話じゃないんです。

チューニング、津軽三味線でいうところの調弦に関わる深いお話なんです。

 

 

このシリーズの過去記事

『道具に対する想い』

『道具に対する想い②』

『道具に対する想い③』

 

 

 

演奏になくてはならないものがこの『調子笛』です。

 

こだわりっていう話ではなくて、この調子笛のお仲間になる「チューナー」というものに関して気になった話を耳にしたのでひとつ書こうかなと。

 

 

大会要項に書かれているので名前を書きますが、びわ湖大会ではチューナーの使用は禁止(減点対象)です。

 

「舞台で演奏する際にチューナーなんぞを使っていてどうするんだ!」→「己を磨け!機械に頼るな!」という昔から続く舞台の心構えの継承という事なんでしょうね。

 

実際、舞台袖で準備中にチューナーを使う事を止められているのではないので、「チューナーの使いどころ」をどう考えるか?を選手に問いただしているんだと思います。

 

 

私は舞台袖でも舞台でもチューナーは使いませんが、使えないのはダメだと考えています。特にこれからの音楽業界の中で活動を考えているひとであれば、間違いなく使えないといけませんし、使えない人はそのままほんとに使えない人です。

 

聴けばわかるだろ!にも対応し、機械的数値的にもわからないとダメなんです。

 

特に電子系の楽器と合わせる、またカラオケ等の収録物に合わせるなんてのは、音程がきっちり合わされているものです。そこに中途半端な音が混ざると、気持ち悪くて聞いてられません。

 

俺の耳は絶対間違いない!っていう人がいると、人間の耳ってそこまで正確なの?って私は疑ってしまう人なので、チューナーは使えないといけませんと断言します。

 

 

ただ、チューナーに依存してしまうのはいけません。

 

正確さの話以外の要素が、どんな楽器にもあるんです。

 

シンセサイザーだって自分で自分の音を作るんですから、個人の感性と「楽器の個性」というものが強く反映される楽器なんです。

 

三味線の個性ってなんでしょうね?

 

大事なのは三味線の個性ってやつです。わたしはサワリの響きが最初にくる重要な要素だと思っています。音のひずみを生み、共鳴を分かりやすくする便利な装置なんですが、その音のひずみが三味線らしい響きと形容されるわけです。

 

琵琶なら琵琶の、あの独特な響きが琵琶の個性です。

胡弓なら胡弓の、あの独特な響きが胡弓の個性です。

 

ひずみは人によっては聞いてて嫌な音と評価されますし、弓をひくときのきしむような音も聞いてていやな音と評価される事があります。しかし、その楽器の個性なのですから仕方ないですよね。好きな人はその音が好きなんです。その音を無くしてしまったらその楽器ではなくなるんです。

 

チューナーは音程の正確さを約束してくれますが、個性は関係ないものとして計測するので「三味線らしさ」という部分が反映されません。ここがわかってないといけない、と考えてます。

 

 

スタジオミュージシャンとして他楽器と音楽に臨むのであれば、調子笛はやめた方がいいです。

チューナーを選択してください。

調子笛も使い方が大事、そんなお話でした。

 

ではまた。