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津軽三味線奏者の佐藤壽治です。
調弦。
あるジャンルの先生から言わせると「調弦は舞台袖にたどり着く前に終えておくべきもの」だそうです。
津軽三味線の場合、調弦は舞台上でするのが当たり前になっています。
それも結構な時間をかけます。
調弦は準備。
そう考えると前述の「調弦は舞台袖にたどり着く前に終えておく」のが当然で、舞台に上がってから準備している姿をお客さんに見せるのは失礼なこととも考えられます。
と、そんな話は置いておいて、大会での審査項目にある調弦に関する疑問に対する答えを自分なりに。
調弦する時に大事な行動を考えてみると、大会での調弦には欠けている確認があります。
ひとつは調子笛での音の確認が抜けています。
本来、津軽民謡に伴奏するために発展してきたわけですから、調弦ともなれば調子笛で唄い手の声の高低に合わせた音を出してそれに合わせなくてはなりません。
最近はチューナーを用いて正確に合わせる事も可能ですし、ほかの楽器とのコラボレーションもあるので、最初にどの音程に合わせるか?という技術は必須項目です。
でも、大会で調子笛を鳴らして確認する人はいません。
もうひとつは、サワリの調整の確認が足りません。
「もっと音が伸びないか?」「もっと豊かな余韻が出てこないか?」これを追求しなくてはならないのがサワリの調整。
今の状態が良い、ような気がするけどもう少し良い状態があるんじゃないか?と永遠に続くのがサワリの調整です。
ある程度の経験で分かるようにはなるので、調整するまでの手数や時間は短くなります。
でも、大会で手数や時間をかける人はいません。
大きいもの2つですが、本来はこの2つが出来ていないのに演奏を始めてはいけません。
調弦の確認ができていない、つまり調弦が完璧になされていないわけですから、ここで演奏に入ってしまったら、観客には「不完全な演奏」を聴かせることになるわけです。
そんな失礼なことは絶対にするな、と身で感じて教わって(盗んで)この世界を生き抜いてきた審査員が満点をつけるでしょうか?
出番前に新しい糸に交換して臨むのが当たり前、その糸が一番良い音を出す状態で臨むのが当たり前、と身で感じて教わって(盗んで)この世界を生き抜いてきた審査員が満点をつけるでしょうか?
わたしはつけないと思います。
でも、大会って・・・
時間がないんですよ。困った話です。
困ったところでおしまい。
今日も一日がんばりましょう。
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