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津軽三味線奏者の佐藤壽治です。
趣味という記事を書き終わってから気が付きました。
蕎麦打ちも趣味と呼べるのではないか、という事に。
福井県は「越前蕎麦」「おろし蕎麦」という名が有名なそば処でもあります。
仕事の関係上、他県から人を招くことが多かったこともあり、いろんな観光名所などを調べては訪ねたりしていた昔。
「蕎麦打ち体験」なるものを提案され、重造会でのイベントを契機に何度か足を運んでいました。
元々、軽く食事に行こうかと話をすると蕎麦になることが多い福井県を不思議に思っていた先生。
「どこの蕎麦が一番おいしいのか?」と尋ねても返事は「うーん、どこやろね」から始まり色んな場所を言われます。
あちらこちら、それこそ遠いところでも足を運んで食べてみるのですが、どこも美味しいので甲乙つけがたいから「どことは決められない」のだろうと結論を付けていました。
しかし、ある人の話から変わります。
蕎麦通な話をする人をみかけると尋ねる事だけはやめなかった先生。
「美味しい蕎麦屋?そんなもん無いよ」との一言。
では、美味しい蕎麦はどこにあるのか?と尋ねると、
『うちにある。私が打った蕎麦が一番旨い。』標準語ですが、ここは純粋な福井弁で話をされたそうです。
そう、福井では蕎麦を自宅で打つという習慣があったのです。
そして新そばが出る頃、蕎麦好きな人はそば粉を求めて歩き、今年のあの地区の蕎麦は出来が良かったなどと話をするのが本当の通らしいです。
言われてみれば体験したときの蕎麦は出来栄えは不細工なれど香りと味は格別だった。
確かにお店で出す場合の事を詳しく想像してみると、茹でたては可能でも、粉を引きたて、打ち立ての二つは出来ない。
下手すれば製麺所で作ってもらったものをお客さんに提供しているのが実情ではないか。
そこへ私が興味を持つわけです。
もともと料理は好きですし、なにより美味しいものを食べられるのが楽しみなわたし。
最初に体験した時は全く感じませんでしたが、ある時公民館で重造会のみなさんと猪鍋を楽しもうと集まった時に変わりました。
打つ人が変わると全く味が変わり、分かっている人が粉を扱うと味が変わることがとても不思議でした。
しかし、三味線も同じなのでやれるところから気をつけていけば、それなりに美味しい蕎麦を打てるのではないか?と道具を揃えて行きました。
ものは試しなのでホームセンターでお金をなるべくかけずに道具を探します。
最低限専用のものが必要なのは麺切り包丁であることが想像できていたので安い包丁を買い求めたのが始まりです。
麺を打つ台はこたつに100円ショップのビニールシート。
粉をこねる鉢はステンレスたらい。
麺を伸ばす棒は自宅にあったパスタ用の棒。
麺を切る時に添える板は新品のティッシュペーパーの箱。
こんな道具で始め、なるべく薄く延ばし、なるべく細く切ることを考えて出来た蕎麦。
自分で作った蕎麦が美味しいと感じた第一号はこんな状況から生まれました。
その後、お稽古で県外へも行く関係で頂いた道具が増え、さらに生徒さんから頂いた道具も増え、わたしも使い勝手の悪いものは買い替えたりして今の道具たちがあります。
今年も年末へ向けて何度か腕試しをして、年越しそばを家族で楽しめると思います。
昨日、蕎麦を食べる会をしよう!とある人から提案され、「蕎麦打ち初段 ※認定試験があります。」を取得した人と共に蕎麦打ちを・・・と、機会をもらったのですがさすがの初段、打つ所作に技術が全く異次元でした。
津軽三味線に例えると、私は構えと撥の持ち方がなっていない状態。
トホホ・・・な状態でした。
やっぱり習うものです。
自分で楽しめればいいや、という考え方もありますが、それでは全体の1分、もしかしたら1厘くらいしか楽しんでないかもしれません。
それぐらいの差は出てきてしまいます。
上手なひとには秘密があって、その秘密は割と短期間で身に着ける事が出来ます。
ただ、言われたことを忠実に再現できるよう、用意周到に守らなくてはならない事を丁寧に守っていかなくてはなりません。
お稽古中にそんな話をしてますが、蕎麦打ちでは・・・ははは。
蕎麦打ちも奥が深い世界です。
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